カカオは薬として使われていた
アステカ帝国を征服したエルナン・コルテスは、カカオの栄養価値を見抜き、商品価値としても高く認めていました。「これを一杯飲めば食べ物なしで一日中歩き続けることができる」といって、率いていた軍に強制的に与えていました。当時は、カカオマスをそのままお湯に溶かして飲むようなもので、あまり美味しくはなかったと思います。アステカ征服後、スペインに帰国した彼の船の中には大量のカカオ豆が積まれていたそうです。
その後も中米では、カカオを薬草と混ぜたりして、様々な病気の治療に用いられてきました。主なものを紹介します。
- 歯痛・・・ショチトルの花にカカオを混ぜて飲むと痛みがやわらぐ。
- 喉の炎症・・・ユーカリ、チョコラテ、シナモンを茹でて、1日3回服用スル。
- 赤痢・・・レモンの絞り汁とその絞りカスを半分を煮て、こしたものにチョコラテを入れてかき混ぜ、1日3回飲む。
- 胃腸病・・・カカオバター、食用油、カミツレ茶、からしの種を食べる。
- 食欲不振・・・しばらく絶食した後、熱いチョコラテ1杯に、豚の油かカカオバターをひとさじ加えて飲む。
- 肝臓や肺の病気・・・カカオバター、砂糖、シナモンを合わせて食べる。
- 解毒・・・アショコパコニ(?)の花をチョコラテに入れて飲む。
- 毒消し・・・カカオを飲むと蛇に噛まれても死なない。
- 催乳・・・トウモロコシのコナと炒ったカカオを混ぜて挽き、温めたり、あるいは冷たいまま、甘くして飲む。
カカオに含まれるポリフェノールが健康を害する活性酸素を撃退するなどの効果があることはわかっています。しかし、中米の人々は、はるか昔から体験の積み重ねによって、カカオのさまざまな効能を知っていたのですね。
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